20160513 8:06
静脈を通り抜ける甘い甘い集団幻想
憂鬱は麻薬、駆け巡る脳内宇宙
膨張しすぎた甘美な欲望に弾丸を放て
作用
誰かの恋人である誰かと恋に落ちる。誰かのために生きている僕は誰かと恋に落ちた時、生きている理由がほんの少しだけ明確になったように錯覚する。どこかの街の誰かである君は、ある日別の誰かと恋に落ちて僕のものではなく誰かのものへと移っていく。まるで季節が変わっていくように、呼吸をするように。誰かに歯止めをかけられるわけでもなく。僕は僕自身の不在を認識し、また別の誰かの中に自分の自分性を探し求めて毎日を過ごす。また誰かと恋に落ちて、誰かという存在から君という存在への変化を行ったり来たり何度も繰り返す。そうしているうちに気がつくと、自分は老いていることに気づく。死の足音が聞こえ始め、彼が扉をノックしたとき、僕は、ああ誰かのために生きるのではなく自分のために生きていればよかった、と後悔をして、絶命する。
誰も優しくなんかないから俺は
誰も優しくなんかないから俺は
夜は海と空の境界が曖昧になる
雨が振り続けてこの街が沈んでしまえばいい
世界が笑うとき お前は一人で泣く
死ぬときは皆一人
透明な神の意志が俺を無気力にしている
眠る街の息遣いに耳を傾けながら