2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

‪この街に雨が降り続けて沈んでしまえばいい。そうすれば大嫌いだった中学時代の思い出も魚の餌になって成仏してくれるかな。海底に落ちてきた僕の肉体を見て魚たちはどう思うだろう。きっとこんな醜い生き物が地上でのさばって生きているんだ、憐れだと悲哀…

理想の死に方

目が覚めるような赤いオープンカーの助手席には美しい女が座っている。俺はその女と談笑しながら山道を走っている。速度を下げるようにとの看板が目に飛び込んできたが、浮かれている俺はスピードを緩めず、むしろアクセルを思い切り踏み込んだ。気がつくと…

‪駅を何度も通り越して走った。息が切れてもなお走り続けた。肺に流れ込む酸素は二酸化炭素となり空気に混ざり、大気を汚していく。ソールの減ったスニーカーはもう捨てた。目の奥で火花が散り、けたたましい音で鳴り響く遊園地の逆走するメリーゴーランドの…

生活

爆心地から少し離れた場所での一人暮らし。マンションは967階建て、私は384階の7%-0号室に住んでいる。じりじりと焦がす太陽光線は最上階の住人の頭の回路を焼いた。窓から見える二つの原子力発電所はとても大きく、女神の子宮のようである。近くを走る高速…

信号の色を無視して走った。才能が無かった俺は宛もなく夜の街を走るしかなかった。グランドピアノが頭蓋骨を砕く夢を見た。俺がこの世からいなくなっても世界が廻り続けることが憎かった。車を停めてうずくまるとなぜだか心地よく眠れた。重力と絡み合う思…

脳に夏が溜まってきた。俺は手元にあったスパナで頭蓋を割ってそいつを出してやると炭酸の泡のようにはじけて消えてった。苦痛だが、またこうして来年も夏を処理しなくちゃならない。世界はたった一つの季節に支配されている

無題

無軌道な宇宙船は藍色の夢を見る 運命に属せない詐欺師は溺れて死ぬ 今日も眠れない吟遊詩人は定型詩ばかり

20160513 8:06

静脈を通り抜ける甘い甘い集団幻想 憂鬱は麻薬、駆け巡る脳内宇宙 膨張しすぎた甘美な欲望に弾丸を放て

作用

誰かの恋人である誰かと恋に落ちる。誰かのために生きている僕は誰かと恋に落ちた時、生きている理由がほんの少しだけ明確になったように錯覚する。どこかの街の誰かである君は、ある日別の誰かと恋に落ちて僕のものではなく誰かのものへと移っていく。まる…

誰も優しくなんかないから俺は

誰も優しくなんかないから俺は 夜は海と空の境界が曖昧になる 雨が振り続けてこの街が沈んでしまえばいい 世界が笑うとき お前は一人で泣く 死ぬときは皆一人 透明な神の意志が俺を無気力にしている 眠る街の息遣いに耳を傾けながら

不在

つぎはぎの毎日。光と重力という地球に君臨する力に抵抗できず、俺は地を這いながら毎日を埋める。塗りつぶしても塗りつぶしても奴らは次々とやってきて俺にねだる。ゴールは見えず、今走っているレーンが伸び続けるイメージが思考を通り過ぎる。どこからと…

終わりの始まり

終わりの始まり 夏のような冬 眩しいほど明るい夜 感触のある夢 相対的な絶対価値 才能のない人間の生き様 電脳世界の思い出 やさしい安楽死 原因のない結果 目で見る音 聞こえる色 奇跡のような現実 ああ また何かが始まる音が聞こえた

無題

僕が書く価値のない詩を読んでください。僕が死んだら泣いてください。その後は元から存在しなかったように全て忘れ去って、あなただけの新しい生活を始めてください。それではさようなら。電車に乗り遅れてしまわないように、くれぐれも身体にはお気をつけ…

無題

事故みたいに綺麗な太陽だった。夏が俺のまわりをまとわりついて鬱陶しかった。俺はそれを拭って足元の水溜りの中に捨てた。すべてが微妙なバランスの調律の上で成り立っていた。俺は狂っていたんだと思う。ピンク色のカーテンがすべてのインターネットを包…

見る夢

宛もなく歩き続けた。砂漠で見る月はこんなに青いのか。くたびれたブーツはもう捨てた。素足と何も変わらないから。割れてしまった眼鏡の奥にある俺の目はキャビアのように冷たくどす黒く光り、植物の残骸を見つめていた。眠気も襲ってきた。このまま横にな…