信号の色を無視して走った。才能が無かった俺は宛もなく夜の街を走るしかなかった。グランドピアノが頭蓋骨を砕く夢を見た。俺がこの世からいなくなっても世界が廻り続けることが憎かった。車を停めてうずくまるとなぜだか心地よく眠れた。重力と絡み合う思考の回路はアスファルトに落ち音もなく砕けた